日々の潜水・撮影活動の中でキラリと光ったシーンをまとめてみました
地味なオキタナゴのしたたかな繁殖戦略


海底を覆い尽くすホンダワラの森に群れるオキタナゴ。
今、まさに出産のときを迎えている。

産卵ではない、出産なのだ!!
そう、彼らタナゴの仲間は、卵胎生で赤ちゃんが直接母体から生まれ出る、という他の魚とはちょっと違った習性をもつ。



近寄ってみると、そのメタリックな体表の質感と、ずんぐりむっくりした体形が印象的。
この群れはすべて雌ということで、みな腹がパンパンに膨れ上がっている。

ヒカリモノの魚の撮影には少々コツがいる。
ハレーションを起こさないように、ストロボの角度を微妙に調節しながらシャッターを切る。



そんな中、産卵口から稚魚のしっぽが出たまま泳いでいる個体を見つけた。
まさにこれから出産が始まろうとしている。



出産の様子を観察するため、徐々に間合いを縮めながら近づいてみる。
出産口はまさにこれから開いて、逆子の赤ちゃんが中から飛び出そうとするところ。
こんな状態でも結構すばしこく泳ぎまわる彼女らの後を、驚かさないようにじっと付いて回る。

そして、新たな発見があった。
この個体を含め、腹が膨れている雌は、全て腹の真下の部分が二つパックリと割れているのに気がついた。

腹の大きなタナゴを釣り上げた釣り人によれば、中から約50匹もの稚魚が出てくるという。
そして出産は一匹の母親から7~8匹。
妊娠期間は約半年にも及ぶという、壮大なスケールの一大イベント。

大きな腹を抱えたままの期間も長期に及び、その間内臓に負担をかけないよう、いわば蛇腹のごとく内容積を増やす工夫をしているのだろう。
彼女らの膨大な進化の過程の中で獲得した知恵なんだね。



ホンダワラの中には、生まれたばかりの小さな赤ちゃんがちらほら見られる。
もう既に親と同じ体形をしていて、生まれ出た直後から誰の助けも借りずに独立した生活を営むというしっかり者。

この東伊豆の海の典型的な地魚の代表とでも言うべきオキタナゴ。
地味ではあるが、彼らの生き方を見て生態を知れば知るほど、彼らの長い年月の中で培われたしたたかな生き方が見えてきて胸が熱くなる。






オマケ。
水温が18度を超えてずいぶん暖かくなってきているのに、真冬の魚、サギフエの集団が海底をついばみながら元気に泳ぎ回っていました。


最初と最後の写真:[2012年5月19日、東伊豆にて撮影、D90、TOKINA AT-X107DX]
その他の写真:[2012年5月19日、東伊豆にて撮影、EOS5DMarkⅡ、100mmMacroUSM]


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