
この日の午前中、外海で2匹のマンボウに遭遇した。
こんなところでくつろいじゃって、どうしたの。
最近この辺りに出没の噂はちょくちょく聞いてるよ。
ホント、久しぶりだね~。
目の前のマンボウたちとこんな会話を交わしているうちに、海底に置いたハウジングを紛失してしまった。
うっ、やばい。
エキジットから4時間後の昼下がり、カメラ捜索ダイビングに再度出向いた。
午前中にマンボウに遭遇した辺りの場所に行ってみる。
すると、まだ1匹のマンボウがぼーっとホバリングしてるじゃないの。
そしてその直下には、マクロポートのガラスがキラリと鈍く光りながら、我が愛しのカメラハウジングが岩の上に鎮座していた。
広い広い海底の一所にピンポイントでたどり着くのは至難の業。
これは単なる偶然なのだろうか。
まるでカメラハウジングをずっと守ってくれていたかのように中空にたたずむマンボウ。
その不思議な光景を見ながら、シャッターを押したのがこの一枚。
何の変哲もない、ただのマンボウ写真だけれども、オレにとっては、強烈な印象を残した一枚となった。
背鰭の後ろで体半分ぶった切って無理やり尾鰭をくっつけたようなユニークなデザイン。
その丸っこくて穏やかな様子は、見る者みんなを幸せにしてくれる。
なんだかこの愉快な魚と心が通じ合えたような妙な連帯感を感じた。
やっぱりこのマンボウがハウジングのあり処に導いてくれたんだ。
年甲斐もなくメルヘンチックな思いに浸りながら、一生忘れることのできないであろうこの日の出来事をかみしめた。
一緒にハウジング捜索に参加して下さった心優しい常連ダイバーの皆さん。
本当に感謝しています。
有難うございました。
[2014年6月29日、西伊豆にて撮影]
HP TOPへ